シンシアリー
「多分、宰相自身も国王に即位する気満々だったと思う。でも彼がそうする前に、プリヤが・・」
「プリヤ?」
「プリヤンカ・デュ・ラス。ほら、僕の教育係の・・」

レティシアよりもはるかに濃い茶色の髪を、お団子形にきちっとまとめ、いつも一部の隙もない服装をし、その言葉遣いに至るまでの全てが堅物であることを物語っている、未亡人のプリヤンカをすぐに思い出したレティシアは、「あぁ」と唸るように言いながら、2・3度頷いた。

「結局のところは、デュ・ラスさんが先手を打たれた、と」
「うん、まぁ・・。さっきも言ったけど、正当な王位継承者は僕しかいないのだから、国王には僕が即位するべきだと言い張って。結局元老院のみんなもそれに賛同したというわけ」
「ということは、デュ・ラスさんも政治に関わっているのですか?」
「いや。だけどプリヤは僕の教育係として、長年王宮に勤めている。元老院のみんなとも顔なじみだ」

コンスタンティンが優位に立つための根回しくらいは簡単にできる立場である、とレティシアは頭の中に記憶しながら「成程」と呟いた。

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