シンシアリー
「僕が国王に即位をしたことで、国内の混乱はどうにか抑えることができたけど、僕が国の現状を知らない事は変わらない。だから結局僕は、クリストフ宰相の言いなりだ」
「その事に対して、貴方は不服に思っていらっしゃるのですか?」とレティシアが聞くと、コンスタンティンは2・3秒間を置いて、顔を左右にふった。

「いいや。その・・プリヤから聞いていた事と違うから」
「と、言うと・・?」

この部屋――コンスタンティンの寝室――には、自分とレティシアの二人しかいないことが分かっているにもかかわらず、コンスタンティンは誰か不審な者がいないかどうか確かめるように、辺りをキョロキョロと見た。
そして、自分たちの他に誰もいないことを“確認”すると、レティシアの方へ気持ち近づき、「誰にも言わないと約束して」と小声で言った。
レティシアは、一度頷いて同意をする。

「・・・プリヤは、クリストフ宰相に騙されるな、彼を信用してはいけないと言った」

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