シンシアリー
コンスタンティンを結婚させることで、彼をより“国王らしく”見せると同時に、この結婚には、恐らくクリストフ宰相につけ入る隙を与えないという思惑も含まれていたのだろう。レティシアは、コンスタンティンから聞く話で、少しずつエストゥーラ王国の内部事情が視えてきた。

「実は僕、アンドゥーラ公国なんて名前も知らなかったし、どこに位置するのかも知らなかった。もちろん、レティシアの事も。何も知らなかった」
「私も、貴方の事は年齢と、ご両親を亡くされたばかりだという事くらいしか知りませんでした」

レティシアは、労わる気持ちを込めて、コンスタンティンの手をそっと握った。
コンスタンティンは、その手をじっと見ながら「僕は10歳になったばかりだから、本当の結婚生活を送る事なんてできない。それなのに、僕と結婚するために、レティシア、貴女が来てくれた事に、僕はとても感謝して・・います。ありがとう」と涙声で言った。

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