シンシアリー
「レティシア。僕を夫として愛して欲しい等といった要求はしない。でも貴女には・・僕の友人になってほしい。僕には、嬉しい事だけでなく、悲しい事や疑問に思うような、とにかく僕の気持ちを正直に、何でも話せる相手が・・・いなくなってしまったから・・・貴女にその役割を要求しても、良いだろうか」

・・・この方は、まだ10歳だと言うのに。
この世で一番信頼していたご両親を突然亡くされて、途方に暮れる間もなく国王に即位させられ、誰にも悲しい気持ちを打ち明ける事が出来なくて・・そして、誰の事も信じられないまま、私と結婚せざるを得なかった。
でも、私のような外部の者であれば、利害関係に惑わされる事無く、何でも話すことができると思ったのだろう。
デュ・ラスさんが、そこまで国王様のことを考慮した上で、私を結婚相手に選んだとは思わない。けれど、この方は私に救いを求めている。
私は、そのためにこの国に、この方の許へやって来たのかもしれない・・・。

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