シンシアリー
レティシアは、自分が置かれている立場と立ち位置を、冷静且つ正確に把握していたので、ユーグには事前に「あなたがどんなことを感じても、ちゃんと宴を楽しむのよ」と言い聞かせていた。
ユーグは、レティシアに対して失礼な態度を取る統治者に向かって剣を抜こうとするたびに、レティシアに言われたことを思い出しては、かろうじて手をグッと握りしめ、思い留まった。
思わず尊大な不届き者――一応、王や陛下と呼ばれている、偉い統治者なのだが――を睨んでしまうことや、不機嫌な雰囲気を漂わせてしまうことまでは抑えようとはしなかったが・・それでも自分の“短気”が原因で、愛する主・レティシアに恥をかかせてはいけないという一心で、どうにかこらえることができた。
「こらえることも“大人”なのだ」と、自分自身に言い聞かせて。
ユーグは、レティシアに対して失礼な態度を取る統治者に向かって剣を抜こうとするたびに、レティシアに言われたことを思い出しては、かろうじて手をグッと握りしめ、思い留まった。
思わず尊大な不届き者――一応、王や陛下と呼ばれている、偉い統治者なのだが――を睨んでしまうことや、不機嫌な雰囲気を漂わせてしまうことまでは抑えようとはしなかったが・・それでも自分の“短気”が原因で、愛する主・レティシアに恥をかかせてはいけないという一心で、どうにかこらえることができた。
「こらえることも“大人”なのだ」と、自分自身に言い聞かせて。