シンシアリー
国王の座に就いて約半年の間、誰もコンスタンティンに「国王としての役目を果たすように」と言わなかった。
それを良い事に――10歳という年齢も言い訳にして――、コンスタンティンはただ玉座に座って、クリストフ宰相の言いなりの操り人形状態になっていたのだが・・・レティシアの巧みな話術に惹き込まれたコンスタンティンは、ついに、国王として自分も何かやるべきだという気になったのだ。
それはきっとレティシアが、「どんな状況にいても、何かできることは必ずある」と思わせるような、気持ちが前向きになる話し方をしたからなのかもしれない。

コンスタンティンは、青い瞳を輝かせながら弾む声で「分かった。行こう!」と答えた。

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