シンシアリー
コースチャ、病気になる
朝食の時間になっても、まだ食事部屋へ来ないコンスタンティンを心配したレティシアが、コンスタンティンの寝室へ行くと、彼はまだベッドに横たわっていた。
レティシアの姿を見て微笑んだコンスタンティンだったが、明らかに弱弱しく、「レティシア・・」と呟いた声も元気がない。
レティシアは、コンスタンティンの所へサッと駆け寄った。
ユーグはそんな二人を見守るように、ドアの近くで立っている。

「まあ。どうしたの?コースチャ」
「コンスタンティン様は、熱があります」

コンスタンティンの代わりにキビキビとした口調で答えたのは、彼の教育係である、プリヤンカ・デュ・ラスだった。

「コンスタンティン様はこの三月近く、各都市への訪問等、国務に精を出し過ぎていましたからね。特に先週は炎天下の中を遠出されましたから、きっとご無理がたたったのでしょう。体調をお崩しになられたのも頷ける事です」とプリヤンカは言って、隣に立っているレティシアを、ジロリと一瞥した。

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