シンシアリー
驚愕のあまり、もう何も言葉を発せないクリストフ宰相は、ただ呆然とレティシアのことを見るばかリだった。
「貴方は私と話すより、もっと大事な用があった、というより、生じていた。それは、先に出て行ったラビアラ王国のマルセル外務大臣の言葉です。実はあの時、私と、その場にいたユーグは、貴方と少し話をした後、マルセル外務大臣の後を追いかけたのですよ」
「何・・・!」
「マルセル外務大臣は、私がエストゥーラのミカエルズ王妃であると知った途端、同情の眼差しを向けて真実を・・ラビアラ王国で起こった悲劇を語ってくれました。それは、ラビアラの民・合計156名が、過去2年の間、奴隷船に乗せられ、運河を渡り、他国へ売られたということでした。しかも、その陰謀の首謀者は、事もあろうか、ラビアラとは陸続きである隣国の、この国・エストゥーラの国王であると。もちろん、コンスタンティン様が国王に即位される前の出来事ですから、ここで言う“国王”とは、前国王、つまりコンスタンティン様のお父様が、そのような陰謀を働いた、ということになります」
新たな真実の露見に、その場は再びざわめきが起こった。
「貴方は私と話すより、もっと大事な用があった、というより、生じていた。それは、先に出て行ったラビアラ王国のマルセル外務大臣の言葉です。実はあの時、私と、その場にいたユーグは、貴方と少し話をした後、マルセル外務大臣の後を追いかけたのですよ」
「何・・・!」
「マルセル外務大臣は、私がエストゥーラのミカエルズ王妃であると知った途端、同情の眼差しを向けて真実を・・ラビアラ王国で起こった悲劇を語ってくれました。それは、ラビアラの民・合計156名が、過去2年の間、奴隷船に乗せられ、運河を渡り、他国へ売られたということでした。しかも、その陰謀の首謀者は、事もあろうか、ラビアラとは陸続きである隣国の、この国・エストゥーラの国王であると。もちろん、コンスタンティン様が国王に即位される前の出来事ですから、ここで言う“国王”とは、前国王、つまりコンスタンティン様のお父様が、そのような陰謀を働いた、ということになります」
新たな真実の露見に、その場は再びざわめきが起こった。