シンシアリー
「あの時貴方は、“ラビアラとは運河の使用権を巡って対立している所なのです”とも仰いましたよね?その“運河”とは、地理的に東側のミデリア海にできたばかりの運河だと思っていたのですが、そうすると、2年前から起こったことと時期的に合わない。となれば残りはあと一つ、アゼル川の運河しかありません。アゼル川は、ミデリア海やパロス海よりも大きくはありませんが、ラビアラ王国にも流れている大河です。その利便性に目をつけた貴方は運河を作ることを決め、実行した。そして、ラビアラを始めとした近隣諸国の民をさらい、密約を交わした奴隷船に乗せて・・・」
「うぅうそだ!嘘だ!!全部おまえが作った絵空事だ!」
「絵空事だとまだ良いのですが、残念ながら、これは現実に起こった出来事です。そして、その出来事の首謀者は、クリストフ宰相、貴方です。それだけではなく、その出来事を、ラビアラ王国・国王の告発書簡によって知ってしまった前国王様と前王妃様は、ラビアラ王国に対して真実を解明し、犯した大罪を償う意向を伝えに行く道中、殺害されたのです」

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