シンシアリー
レティシアの父親より、少し上の年齢に見えるシャハール国王は、男性にしては背が低い方だが、国王だけあって、威厳に満ちた佇まいをしている。
顔のパーツのそれぞれが主張しているように大きいため、いわゆる派手な顔立ちをしている。そのため、怒るとさぞかし怖いだろう。
しかし、今のシャハール国王は、まるで我が子を見るように顔を愛情一杯にほころばせながらレティシアとコンスタンティンを見て頷くと、「ミカエルズ国王、ミカエルズ王妃」と挨拶をしたが、前の前にいる罪人二人――クリストフ宰相とプリヤンカ・デュ・ラス――に向けた視線は、死人もビビるくらい冷たく、恐ろしいものだった。

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