シンシアリー
レティシアは、コンスタンティンをガバッと抱きしめた。
震える声で「ありがとう」と呟いたレティシアは、静かに涙を流している。
そんな二人を、召使のイリーナは、感動のあまり口に両手を当て、目に涙を浮かべながら見ている。

・・・一応“別れる”のに、お互い喜んでいる。何だかおかしいけど、やっぱり・・レティシアが嬉しいなら、僕も嬉しい・・・。

コンスタンティンは照れながらも、レティシアの腕にそっと手を置きつつ、レティシアの肩越しに、ユーグと目が合った。
「レティシアのこと、頼んだよ」と青い瞳で“伝えた”コンスタンティンに、ユーグは小さく頷いた―――。

< 350 / 365 >

この作品をシェア

pagetop