シンシアリー
だからアレッシアは、次の大公になることが確定している息子・ヘルメースを「教育」することに熱中した。
通常、大公の子には「乳母」と呼ばれる女中2・3人が身の回りの世話をするのだが、アレッシアは彼女たちの介入を拒み、食事を与えることはもちろん、沐浴から服の脱ぎ着といった日常生活のこと全てを、自分でヘルメースにしてあげた。
こうすることでアレッシアはヘルメースを、自分がいなければ何もできない、母に甘えてばかりの息子に育てようと目論んでいたのである。

・・・そうして大公になったヘルメースを、わたしが陰で操る・・・。

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