シンシアリー
「どうです?姫様。激励しに行きますか」
「いいえ、止めておくわ。“姫”とは言っても、私はまだ10歳の女子。そんな私から声をかけられても、たぶんみなさんの邪魔になるだけでしょ・・・あ。あれは・・ユーグじゃないの!?」
「そうです。倅は先月からここに拾ってもらいました」
「だったらユーグはとても優秀な騎士なのね」
「そうでしょうか」と言ったセイヴィアーの声は疑問に満ちている。

それを裏づけるように、「こらーっ!ベイル!そんな調子じゃおまえは実戦で即死んじまうぞ!」という怒声が、姫たちがいるところまで聞こえてきた。
そして馬に乗っていたはずのユーグは、地面にうつ伏せで倒れている。

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