シンシアリー
公邸内では姫の誕生を、子どもの誕生として純粋に喜ぶ者がいる一方で、「大変だ」「国の一大事」と憂いている者も、それ以上にいた。
国を統治しているゼノス大公は、ジンクスに圧されてしまった。

・・・女子、だと?しかも私にとって初めての子が・・・。
よりによって我が代で!何ということだ!

ひとしきり落ち込んだゼノスは、はたと現実に戻り、そして焦った。
「このままでは国が滅びます」「早く次のお子を!」という周囲の声が、ハッキリ聞こえるかのように、自分で自分を追い込んだ。

「・・・そうだ。このままではいけない。早く私の後継ぎをつくらねば。一刻も早く!」

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