シンシアリー
そんな人々の囁く声や惧(おそ)れの眼差しを、来訪当初、レティシア姫は確かに感じた。
しかし、ここでそれらの雰囲気に呑まれ、逃げてしまえば、姫は自分の成し遂げたいこともできないまま、そこで終わってしまう。
レティシアは、心が傷つくたびに「このまま身をひるがえして公邸に戻ろう」と何度も思った。
しかし、その度に自ら心の傷を塞ぎ、その上に勇気をふりしぼって、「何も知らない」という表情をあえて浮かべながら、淡々と自分の“任務”を遂行した。
・・・私は現状を知る必要がある。そして国の民は知らないだけ。
私は大公様の娘、そして姫ではあるけれど、同時にただの女子であることを・・・。
しかし、ここでそれらの雰囲気に呑まれ、逃げてしまえば、姫は自分の成し遂げたいこともできないまま、そこで終わってしまう。
レティシアは、心が傷つくたびに「このまま身をひるがえして公邸に戻ろう」と何度も思った。
しかし、その度に自ら心の傷を塞ぎ、その上に勇気をふりしぼって、「何も知らない」という表情をあえて浮かべながら、淡々と自分の“任務”を遂行した。
・・・私は現状を知る必要がある。そして国の民は知らないだけ。
私は大公様の娘、そして姫ではあるけれど、同時にただの女子であることを・・・。