シンシアリー
レティシアのことを常日頃から「目障りな存在」として疎んじているアレッシアに、「過剰」と言えるほど甘やかされているヘルメースは、半分血のつながった姉・レティシアのことを、物心ついた頃から「敵」扱いし、姫にはいつも「将来大公になる自分の方が、あいつより偉いんだ」という、見下した態度で接していた。
しかし、ゼノス大公がいる前では、そんな態度を表に出さないように気をつけている狡猾な一面も、すでに持ち合わせているものの、何せヘルメースは、まだ7歳の子どもだ。
時に調子に乗り過ぎて、「ボロ」が出ることもある。
だが、そんなときは必ず、ゼノスはヘルメースに注意をした。今回も然り、なのだが・・・。
アレッシア程ではないにしろ、息子にはどうしても甘くなるゼノスは、今回も、そこまで厳しくない口調で「よさぬか、ヘルメース」としか言わなかった。
< 64 / 365 >

この作品をシェア

pagetop