シンシアリー
言われたヘルメースは、軽く肩をすくめただけで、反省の色すら全く見えない。いつものことだ。
そしてアレッシアは、息子の「失態」に、思わず舌打ちしそうになるのをこらえる一方で、ヘルメースがレティシア姫のことを嫌うように仕向けて、順調に「教育」している、自分の見事な手腕にほくそ笑んだ。もちろん、誰にも見られないよう、顔は俯けて。
また彼らから侮辱を受けたレティシアは、「いつものこと」と割り切り、目の前のことに意識を集中した。

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