シンシアリー
父親である前に君主であることを選んだゼノスは、レティシア姫が生まれたその日から、妻であるカサンドラに男子―――次の君主となり跡継ぎとなる子―――を産ませることを考え始めていた。
女子を産んだことに責任を感じたカサンドラは、我が子・レティシアに、愛情を注いで育てることより、夫であるゼノス大公に従う道を選んだ。

がんばった甲斐があり、レティシアが1歳のとき、カサンドラは妊娠した。
しかしその子はカサンドラのお腹が膨らむ前に、流産してしまった。
それでも跡継ぎを・・男子を産むことが、公妃である自分の役目なのだと思い込んでいるカサンドラは、数ヶ月後、再び妊娠する。
しかしその子もまた、流産してしまった―――。

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