シンシアリー
「そんな、大公様ですら存在を忘れていた古びた小屋で“治療を受けたい”と思う人なんて、いると思うの?わたくしは絶対に嫌ですよっ。第一、最初から取り壊す予定で建てたものなのでしょう?大公様。だったら、今すぐにでも取り壊すべきだと、わたくしは思いますわ。そんな夢物語のようなこの子の話に、公国の予算はおろか、ザッハルト家の財産を使う必要なんて、ないんじゃございません?」
「そうですよ父上。姉のいうことをいちいち聞いてたら、そのうち我が家の財産はなくなってしまいます。それじゃあ僕が困るよ」
「まあまあ、ヘルメース。大丈夫よ。大公様が息子であるあなたをそんな目に遭わせるはずはないから」
「健康が当たり前であるように、病気や怪我というものも、いつか我が身に起こりうるもの。ですから医学は、もっと身近にあるべきであり、進歩させなければならない学問の一つだと私は思います。お父様、今から62年前に国を襲った病が、なぜ人々の間に蔓延したか、分かりますか?」
レティシアは、ゼノス大公の答えを聞く前に話を続けた。
「そうですよ父上。姉のいうことをいちいち聞いてたら、そのうち我が家の財産はなくなってしまいます。それじゃあ僕が困るよ」
「まあまあ、ヘルメース。大丈夫よ。大公様が息子であるあなたをそんな目に遭わせるはずはないから」
「健康が当たり前であるように、病気や怪我というものも、いつか我が身に起こりうるもの。ですから医学は、もっと身近にあるべきであり、進歩させなければならない学問の一つだと私は思います。お父様、今から62年前に国を襲った病が、なぜ人々の間に蔓延したか、分かりますか?」
レティシアは、ゼノス大公の答えを聞く前に話を続けた。