シンシアリー
「・・・つぎ・・・」
「公妃様・・・。貴女様はもう、子を産むどころか、妊娠すること自体が無理なお体なのですよ」
「それでも・・わたくしは、跡継ぎを産まなければ・・・」

・・・それが、公妃としての役目。
そして、跡継ぎの男子を産まなければ、わたくしは・・・。

しかし、4年の間に5度も妊娠と流産を繰り返したカサンドラは、身体的にボロボロな状態だった。医者の言う通り、もう妊娠すること自体が無理な体になっていたのである。
加えて、「男の子を産め」「早く跡継ぎを」という周囲からの声が強いプレッシャーとなり、カサンドラの精神をギリギリまで追い込んでいた。

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