シンシアリー
だからこそ、レティシアは、セイヴィアーとエイダ夫妻がつましく暮らしている小さな家が好きだった。
そこにいると落ち着く。暖炉の火や、薪のはぜる音、台所から漂うスープの匂い・・全てに心が和んだ。
ベイル家は、ザッハルト家のような高貴な家柄でもないし、莫大な財産を持ってもいない。当然、小さいながらも国を一つ統治してもいない。
でもレティシアは、娘のように可愛がってくれるベイル夫妻から、とても大切なこと―――「家族の愛」―――を教えてもらった。
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