シンシアリー
「なぁにが“規則で禁止されてる”だ」
「そうでも言わないと、受け取らざるを得なくなるだろ?じゃないと、たちまちこの場は収拾がつかなくなる」
「あーあー全く。相変わらずモテ男はつれないね・・・おい、どうしたユーグ」

白い布で汗を拭きながら、同僚の騎士と雑談していたユーグは、そこから数メートル先にいる集団に、目が釘付けになった。
いや。正確に言えば、その中にいる一人の女性に、だ。

・・・あの女性(ひと)は・・・!

その女性も、ユーグの視線に気づいたのか。
目が合った二人は、しばらく・・と言っても数秒、見つめ合っていたが、ユーグはその女性の元へ、そしてその女性はユーグの所へ駆け出していた。
ただ嬉しさのあまり、自然に出たお互いの「行動」だ。

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