シンシアリー
「姫ー。そろそろ授業が始まりますよー」というクラスメイトの声に反応したレティシアは、パッと顔を上げた。

「すみません。大切な授業の最中に引き留めてしまって」
「ここに来てからまだ授業は始まってなかったの。ずっとあなた方の訓練を見てて・・・さっきの的当て、本当に見事だったわ!」
「ありがとうございます。今だから言えるけど、的に当てることができて良かったって、ホッとしてます」
「まあ」

クスクス笑ったレティシアは、笑みを止めた。
その、少々憂いのある切なげな顔――姫本人は気づいてなかったが――を見て、ユーグのハートはドキッとしてしまった。

・・・色っぽい・・・。

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