君の彼女を僕にください
その後は、準備に追われてすっかり忘れてたんだけど、文化祭当日。
朝一番のシフトに入れられた私は、このまま逃げ出そうかとマジで考えていた。
そんな私の考えを見事に見抜いてる人は、こっそりと出て行こうとする私の眼の前に立ちはだかると、
「蒼?何してんなかな?」
そう言いながら、ほっぺたをブニブニと引っ張った。
「ヒーーーヒタイレフ!!ホメンッテ〜〜!!」
180cmもある悠真は、私に目線を合わせながらめっちゃ笑顔なんですけど。
絶対に遊ばれてるし……。
もう逃げない約束をし、悠真に背中を押されながらしぶしぶ更衣室に入った。
そこで待っていたのは、第2の試練。
「えええええ!これ着るの?!」
着替えの為に、教室の一角を仕切って作った、簡易更衣室。
そこに掛かってる衣装は、これでもかってほどヒラヒラしたワンピに、フリルの付いたエプロンが付いていた。
「あんた達が買ってきたんじゃん!!」
ううっ……そうでした。
杏の一喝にぐうの音も出ない。