リアル絵本
ひがみの国のパリス
むかーしむかし、あるところにパリスという不思議な少女がいました

ある日パリスがブランド店で買い物をしていると

「あー!急がなきゃ!大変だ!遅れるぅ!」

なんということでしょう

一匹のシロウサギが大きな時計を担いで、店頭を走り去っていくではありませんか

しかしパリスはそんな事に目もくれず、買い物を続けます

「・・・ぇ、パリス様。あの、ウサギ追わなくていいんですか?」

店員が不思議そうな顔で訪ねます

「え?ウサギ?あんなの金があれば買えるでしょ?・・・・それより、えっと、コレとコレ。キャッシュでお願い」

「こ、これは失礼しました。パリス様」

パリスが無事買い物を済ませ店を出ようとしたそのとき

「あー大変だぁ!早くしないと不思議の国にいけないよー!僕を追わないとー!」

「・・・・・」

去ったはずのシロウサギがプレッシャーをかけに舞い戻ってきました

「パリス。行ってあげたら?」

横にいたお姉さんがうながします

「なんなの!?お姉さんまで!あああああああああ!イライラするぅう!わかったわよ!行けばいいんでしょ、行けば!」

パリスはやけ酒を飲み、ご自慢のロールスロイスでシロウサギを追いかけました


ピーーー!
「そこの車とまりなさい!」



パリスは4畳半の不思議な国へ迷い込みましたとさ


おしまい
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