お前の涙、俺だけに見せて
「花?固まってるが、どうした?」
「イケメンがいる……」
私は思っていたことをそのまま、口にした。
「バーカ。行くぞ」
千秋は照れ隠しのためか、私の頭を小突いた。
つくづく、あんなイケメンに好かれてるなんて、奇跡だなって思うよ。
そして、私たちは麗たちとの待ち合わせ場所に向かった。
行くともう、二人は来ていた。
ものすごく視線を集めてるのに、気付かない麗と野澤君。
どれだけ自分たちの世界に入ってるんだ、っていうね。
とは言うものの、隣にいる千秋もかなり熱い視線を送られてる。
……私、場違いすぎる。
「花ー!三神ー!」
私たちに気付いた麗が、元気よく、大きく手を振っている。
「よし、帰るか」
千秋は回れ右をし、帰ろうとした。
私はそれを阻止するために、腕を組んだ。