お前の涙、俺だけに見せて
そばに立っている麗が、申しわけなさそうに顔をしかめる。
「麗が気にすることじゃないよ。私が自分で決めて、乗ったんだから」
それでも、麗の不安そうな、もうしわけなさそうな表情は消えなかった。
「俺ら飲み物買ってくるから、麗は花看てて」
「うん!」
麗が元気よく返事すると、千秋と野澤君が並んで離れていった。
「後ろ姿だけでもかっこいいってわかるよねー……」
「だね」
私たちは顔を見合わせて、笑った。
しばらくして、千秋たちが戻ってきた。
「ほら」
私は千秋から水を受け取る。
横で、麗が野澤君からリンゴジュースを受け取っているのが目に入った。
「私もリンゴ……」
「気分悪いやつがなに言ってんだ、バーカ」
そうだよね……
千秋の言葉が正論すぎて、返す言葉が見つからない。
「また今度、買ってやるから」
「ヒュー、千秋イケメーン」