お前の涙、俺だけに見せて


結構動揺してるのかな。



「セン君、この人は?」



「俺の彼女」



さっきはあんなに曖昧な返事してたくせに、今度はきっぱりと言い切った。



私の体温が一気に上がる。



「彼女さん、可愛いね」



そう言うあなたのほうが、断然可愛いです。



「お前、ここでなにしてんの?」



千秋は彼女の言葉をスルーし、質問した。



スルーですか。


普段はあんなに鋭いのに。



「友だちに誘われて合コン。セン君はデートでしょ?」


「ああ。だから、邪魔すんな」



声だけでも、千秋はがどれだけ不機嫌なのかよくわかる。



彼女もそれがわかったみたい。



「ごめんね。でも、戻りたくないなあ。もう、セン君以上のいい男がいなくて。なんで私、セン君と別れたんだろ」



彼女の言葉は、私の胸を締め付ける。

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