お前の涙、俺だけに見せて


「やめろ」



千秋、本気で嫌そう。


あの子が呼ぶのは許してるくせに。



「あの子、千秋の元カノなんだよね?名前は?」


「……椛雪菜(もみじゆきな)」



わあ、名前まで可愛い。


本当に、彼女と戦って勝てるところなさそう。



てことは、もし本気で千秋争奪戦が始まったら、千秋と別れなきゃってこと……?



そんなの……



「絶対嫌!」


「ど、どうした」



私が急に大声を出したから、千秋は目見開いていた。



「私、千秋と別れたくない!」


「はあ?なんで俺と花が別れるんだよ。俺、花を手放す気、ないけど?」



千秋はそのつもりでも、椛さんは別れさせる気満々。


もう……


どうしたらいいの……

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