お前の涙、俺だけに見せて
「元カノ登場とか聞いてない!」
麗は思いっきり叫んだ。
周りの人が驚いたような視線を向けてくる。
賑やかな音がありながらも、麗の声は聞こえたらしい。
「椛雪菜ちゃんねえ。俺、苦手だわ」
野澤君が苦手な女子とかいたんだね。
「私も嫌い!」
というか、野澤君も麗も知ってるのか。
「いや、俺嫌いとは言ってないけど?」
「そんなことはどうでもいいし!なんで今さら!」
麗、相当熱こもってる……
そんなに嫌いなの……?
「花のほうが、三神にあってるのに!」
おおう。
突然嬉しい言葉を言ってくれるね、麗は。
「花!椛雪菜なんかに負けないでよ!」
「う、うん……」
私は麗の勢いに押され、背中を反った。
すると、千秋が麗を私から引き離した。
「少し落ち着けよ。お前がどれだけ騒ごうが、無駄だろ」
「でもー!」
なんか、だんだん麗が駄々こねる子供みたいに思えてくる。
「麗」