お前の涙、俺だけに見せて
すると、野澤君が麗の頭の上に手を置いた。
麗はみるみる大人しくなっていく。
まるで、風船の空気が抜けてったみたい。
「どうして、椛さん、こんなに嫌われてるの?」
ひとまず麗が落ち着いたから、気になってたことを質問してみる。
「椛さん!?あんなやつ、呼び捨て……」
「麗!」
また麗が暴走すると思えば、野澤君がそれを遮り、一言で抑えた。
そして千秋はというと、黙ったままだった。
「千秋、俺が話すよ?」
「……ああ」
千秋はどこか、嫌そうな顔をしていた。
そんなに辛い過去だったのかな……?
「椛雪菜は千秋の幼馴染だったんだ。で、中二のとき、周りの人間の言葉もあって、二人は付き合い始めた」
幼馴染……
どこまで手強い恋敵になるつもりですか……
「でもある日、椛雪菜が浮気した」
わあ。
でもそれなら、椛さん、すごく勝手なこと言ってるってことに……