お前の涙、俺だけに見せて


でも……



「んな暗い顔すんなって。そういえばさ、もうすぐ夏休みだろ?どうする?」



千秋の隣に行くと、千秋は笑っていた。



「とりあえず海は行きたいよなー。あと夏祭りか。花火も悪くない」


「行きたい!」



せっかくだし、浴衣着てみたり?



すると、千秋は優しく微笑んだ。


なにを思って笑ったかわからないけど、やっぱりカッコイイな、千秋は。




そして、それから一週間が過ぎた。


椛さんは毎日のように放課後、校門の前に立っていた。



で、千秋に助けを求めるんだけど、千秋は無視。


野澤君に声かけたって聞いたんだけど、助けなかったんだって。



さすがにそろそろ心が折れたかなって思ったんだけど……


今、私の目の前には男子生徒に絡まれてる椛さんが。



どっちも懲りないな……なんてね。



正直、自分で嫌とか言っておきながら、可哀想と思ってしまう。



その結果が、助ける。



今日は千秋、用があったみたいで、まだ学校に残ってて、私一人だった。


だから、つい声をかけたんだ。



「大丈夫?」

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