お前の涙、俺だけに見せて
花、一緒に暮らさないか?
答えが決まれば、同封してある名刺の番号に連絡ください。
もし連絡がなければ、一週間後、返事を聞きに、学校に行きます。
父』
そして、手紙に書いてある通り、封筒を覗けば名刺が入っていた。
相馬光輝。
これが、お父さんの名前みたい。
ていうか、自分勝手な人。
この文を読み、父親の印象がそう変わってしまった。
そもそも、会ったこともない人の印象なんて、ないに等しいけど。
お父さんと暮らす、か……
なんとも言えない気持ちのまま、部屋を出て、夕飯の支度をした。
翌日もお父さんからの手紙で頭がいっぱいだった。
「花、なんかあった?」
いつものように、休み時間に遊びに来ていた麗が、心配そうに私の顔を覗き込む。
「なにもないよ?」
誰かに話すようなことでもないような気がして、私は作り笑いを浮かべた。