お前の涙、俺だけに見せて
そして放課後。
変わらずボーッしながら、千秋と校門を通る。
「花さん!」
突如聞こえた私を呼ぶ声に、思わず振り向いた。
そこには、頬を膨らませた椛さんが。
「さっきから何回も呼んでたぞ、花のこと」
同じく隣で立ち止まった千秋が、こっそり教えてくれた。
なるほど。
だから怒ってるのかな。
「花さん借りるね!」
すると、椛さんは私の手首をつかみ、千秋の返事を聞かないで歩き始めた。
連れてこられたのは、小さな公園。
昨日、千秋たちが話してた場所。
私はベンチに座らされた。
「ごめんなさい!」
椛さんは立ったまま、思いっきり頭を下げた。
「え?」
「セン……三神に気持ちはとっくの昔になくなってるし、もう二人の邪魔はしない。昨日話したら、すっきりしちゃった」