お前の涙、俺だけに見せて
私は千秋に言われるがまま、体温を測る。
数分すると、ピピピという電子音が鳴った。
「何度?」
千秋は口に残っていたものをお茶で流し、聞いてきた。
「あー……三十七度五分」
「微妙だな」
ですね。
「学校はどうする?」
「行くよ?風邪じゃないんだし」
「そっか。無理すんなよ?」
「うん」
……多分。
と、心の中で付け足しておく。
「行くなら早く準備しろ」
「……千秋が手を止めたくせに」
「なにか言ったか?」
小さい声で反論したため、千秋はそう聞いてきた。
表情的に、内容は聞こえてない……はず。
「いや、なにも」
そう答え、朝食を食べる。
そして、いつも通りに登校した。