お前の涙、俺だけに見せて


養護教諭が優しく聞いてくる。


保健室の先生って、なんか一緒にいて落ち着く。



「いえ、少し休めば平気になると思います」


「そう、わかったわ。ベッドはどれを使ってもいいからね」



先生はそう言って、自分の仕事に戻った。



「千秋も、もう戻って?五時間目が始まるし」


「ああ。あとでまた来る」



千秋は軽く私の頭を叩いて、部屋を出ていった。


ただでさえ上がっている体温を、さらに上げないでくれませんかね。



そして、ベッドに潜り込むと、私はすぐ眠りについた。



目が覚めたのは、一時間後だった。



「起きた?とりあえず、熱測りなさい」



私は言われるがまま、体温計を脇に挟む。



「あなたがここに来たとき一緒にいた彼ね、休み時間も来たわよ。あなた、ぐっすり寝てたけど」



千秋が?



どれだけ心配症なんだって話よね。



でも、顔は見たかったな……



すると、今日三度目の電子音が聞こえてくる。

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