お前の涙、俺だけに見せて


そんな火に油を注いでみる。



「表面つくろって、送り出すだろうな」



……ん?


表面つくろって?



「本心じゃないってこと?」


「当たり前だろ。一秒でも長く花といたいのに、自分からそれを削るようなことできるかよ」



千秋は顔を背けていたけど、赤くしてるのがバレバレ。



まあ、そういう私も、顔真っ赤なんだけどね。



「そういえば、お姉さんに聞きたいんですけど、どうして私が悩んでること知ってたんですか?」



最近会ってたわけじゃないのに……



「千秋から連絡きたんだよ。花ちゃんの話を聞いてほしいって」



やっぱり千秋の目は誤魔化せないなあ。


すべて見抜かれてるような気分になる。



「俺には大丈夫しか言わないってわかってたからな。最初から姉貴に頼るほうがいいかと思ったんだよ」



……千秋、正解。



前もこんな感じの内容で喧嘩したもんね。



それから少しして、お姉さんは帰った。

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