お前の涙、俺だけに見せて
episode.7
いよいよお父さんと会う約束をした、週末になった。
待ち合わせ場所に向かう途中、麗から電話がかかった。
「もしもし?」
「花ー!」
電話先の麗は、私が出た瞬間に泣き叫んだ。
あまりの声量に、私は思わず携帯を耳から離した。
「どうしたの?」
「嵐士が最近相手してくれないのー」
まあ、そんなことだろうと思いましたよ。
うーん……
どう答えたらいいのかな。
「今日だってね?前からデートの約束したのに、用があるって断られたの!それもドタキャン!」
迷っていたら、麗が話し始めた。
単純に、話を聞いてほしいだけなのかな。
「それはひどいね。理由は聞かなかったの?」
「聞いた。家の事情だって。もう、最近の嵐士、そればっかりなんだよー」
そういえば、ダブルデートのときも、家の事情で先に帰ってたっけ。
「野澤君の家に行ってみたら?」
「家知らない。てか、嵐士の家族のこと、なにも知らないの。嵐士が話したがらないから」