お前の涙、俺だけに見せて
そうだったんだ。
てっきり知ってるかと思ってた。
「もういやだー」
駄々っ子麗登場。
……なんてね。
「でも、好きなんでしょ?」
「……うん」
ちょっとあった間は、照れて言いにくかったのかな。
というか、相変わらず麗は素直で可愛いなあ。
「あ、ごめん麗。そろそろ切るね?」
目的地に着いても話すつもりだったけど、先にお父さんが来てたから、切ることにした。
お父さんだとわかった理由は、普通待ち合わせ場所にしないところを、待ち合わせ場所にしたから。
でないと、顔も知らない人と会うことなんてできないもん。
「はあい。またね、花」
麗の返事を聞いて、私は電話を切った。
「君が花?」
私を見つけたお父さんは、そう訪ねてきた。
電話で聞いた声より、なんかカッコいい……
「……はい」