お前の涙、俺だけに見せて


初めて会うのもあるけど、私はこの前よりも緊張していた。



「今日は花に会わせたい人がいてね。その人に会う前に、まずは衣装チェンジだ」



私はお父さんにエスコートされるがままに、待ち合わせに指定されたお店に入る。



なんとも高そうな内装に、服。



一般人の私は、絶対に縁がない場所。



「いらっしゃいませ。今日はどうされますか?」



入った瞬間、オシャレな店員さんが話しかけてきた。



「この子に合う服を」



お父さん、なんだか慣れてない?



「かしこまりました」



そう言った店員さんは、次々と服を手に取る。



私はというと、渡された服を着ていくだけ。



私の着せ替え人形は、お父さんが納得するまで続いた。



「うん、これで」


「ありがとうございます」


「花、行くよ」



どうやら今着ている服一式を買ったらしく、そのまま来るよう言われた。



着てるのはドレスに近いワンピース。


絶対に普段着ないような服だから、恥ずかしい……

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