お前の涙、俺だけに見せて
私はお父さんのあとに続いて中に入った。
「花ちゃん!?」
「え、野澤君……?」
目の前には正装した野澤君がいた。
私のお見合い相手って、野澤君だったんだ……
ていうか、野澤君の家、ものすごいお金持ち!?
どうして隠したりしてたのかな……?
「……どういうつもりだよ」
野澤君は怒りを抑えていた。
でも、爆発寸前。
「最近よく行動の制限してくると思えば、見合いとか……ふざけんなよ、クソ親父」
「人前だ。口を慎め」
野澤君のお父さん……
威厳があって、なんだか怖い。
「……とりあえず二人きりにさせろ」
「それは食事後だ」
野澤君の提案はあっさり却下され、食事時間となった。
緊張とかいろいろで、ご飯の味なんてわからなかった。
そして、静寂の中食事が済み、私たちは二人きりにされた。
野澤君のお父さんと私のお父さんは個室を出て、どこかに行ってしまった。
「ごめんね、花ちゃん」