お前の涙、俺だけに見せて
「いろいろ別のところに住む手段はあるかもしれないが、できれば断らないでほしい。俺が西野といたいからさ」
「えっ……」
「ダメ?」
その聞き方はずるいと思う。
三神君にそんなふうに言われて、ダメだなんて言えるわけない。
「ダメじゃ、ない……」
「んじゃ、決定な。引越しの日取りとかはまたおいおいってことで。今日は帰るよ」
三神君は立ち上がってカバンを肩にかけた。
私は見送るために席を立つ。
「明日は学校に来れるか?」
靴を履きながら言う姿だけで、カッコいいなって思える。
「うん」
「そっか。楽しみに待ってる。また明日な」
私の頭を軽く叩いて、三神君は外に出た。
あんな不意打ち、反則だ。
あれで恋に落ちるなってほうが無理難題だ。
一人になって、やっと今までのことの理解が追いついてきた。
ん?
ちょっと待って。
私、やることなすこと全てがイケメンの三神君と……
同居するの!?
なんか、とんでもないことになっちゃった!