お前の涙、俺だけに見せて
って、三神君、お姉さんいるんだ。
いいなあ。
「さらに、この家を手放す気はないから、無理矢理家を追い出された」
そんな経緯があったとは……
でも、とりあえず三神君が一人でここに住んでいる理由はわかった。
三神君のお姉さんが、この家を手放したくないっていう理由もなんとなく。
「こんなに豪華な家なのは?」
「その元カレがちっさい会社の社長だったのよ。この家はそいつにプレゼントしてもらったもの」
三神君に聞いたはずなのに、答えてくれたのは後ろにいた人だった。
私と三神君はほぼ同時に振り返った。
そこには茶髪のボブカットの美人さんが立っていた。
返事からして、誰かは予想できるけど……
まとっている雰囲気が恐ろしくて、つい目を反らしてしまう。
三神君はというと、目を丸くしている。
「なんで……」
「私の所有物に、来ちゃいけない理由なんてないでしょ?」
ごもっとも……
てか、お姉さんの所有物ってこと、私が勝手に来たらいけないんじゃ……