お前の涙、俺だけに見せて
「それより、千秋。誰がこの家に他人を入れていいって言った?ていうか、なに、この荷物の量。もしかして、この子を住ませる気じゃないでしょうね?」
や、やっぱり……
「悪いか?」
「ううん、全く悪くない。千秋なんかが住むより、この子が住んでくれるほうが全然嬉しい!」
お姉さんはそう言うと、私に抱きついた。
「え⁉」
さっきのてもしかして演技?
だとしたら、お姉さんは役者を目指すべきな気がする。
というか、予想外の展開にどう反応すればいいのかわからず、私はお姉さんに抱きつかれたまま、固まってしまった。
「私、千秋の姉の千里。あなたは?」
お姉さんは私から離れると、満面の笑みで自己紹介をした。
ここは私もするべきだよね。
「西野花です」
「花ちゃんは千秋の彼女?」
「ち、違います!三神君とはただのクラスメートで」
私は慌てて否定する。
私なんかが三神君の彼女だなんて、おこがましいもん。