お前の涙、俺だけに見せて
そんなお姉さんは、三神君によって引き離された。
「やめろ、バカ姉貴。西野が怯えてんじゃねーか」
「バカ?誰に向かって言ってんの。ていうか、触らないでよ」
三神君の拘束をするりと抜けたお姉さんは、再び私に抱きついた。
この反応って……
「薄々勘づいているとは思うが、姉貴は極度の男嫌いの女好き。弟の俺でさえ嫌われている」
「でも、彼氏がいたって……」
「それはね、利害の一致ってやつよ。あの男は私と付き合いたかった。私は物が欲しかった。向こうが私に貢いでくれてる間は付き合ってあげるっていうのに、もう何もあげないなんて言い出したから、別れたの。あんなの、好きでもなんでもないわ」
わあ、どうしよう。
この恋愛観、ついていけない。
でも、そうしてでもお姉さんと付き合いたいっていうのはわかるな。
お姉さん、すごく美人だもん。
「そうだ、花ちゃん。今から家に来ない?お母さんたちに紹介したいの」
私から離れたお姉さんは、目を輝かせている。
そうか、そうだよね。
三神君のお母さんたちに挨拶はしてをかないとダメだよね。
それに、三神君のお母さんと私のお母さんって、本当に知り合いだったんだっけ。
会って、お母さんとの思い出話、聞きたいな。