お前の涙、俺だけに見せて
「三神君、私、行きたい」
「別に問題ないが、明日は学校だ。家に行って、今日中に帰って来れるなんて思うなよ」
……忘れてた、学校のこと。
「それなら、家に荷物を持っていけばいいじゃない」
「今さっき段ボールを運び終えたんだぞ?さっさと準備なんかできるわけねえんだよ」
三神君の言う通りだ。
もっとちゃんと考えるべきだったな。
って、今日帰って来られないなんて、わかるわけないか。
「なにも今すぐとは言ってないでしょ?まだ昼すぎよ。家で食事の準備の関係もあるし、二、三時間は余裕があるわ」
「……わかった」
三神君、もしかして実家に帰りたくないのかな。
だから、こんなに反対してるとか?
「じゃあね、花ちゃん。またあとで」
お姉さんはもう一度私に抱きついて、帰っていった。
「作業再開だ。ったく、とんだ邪魔が入った」
三神君はお姉さんに対しての文句をブツブツと言いながら、箱だし作業を手伝ってくれた。
ひとまず作業を終えたのは、それから一時間が経ったころだった。