お前の涙、俺だけに見せて
「ちょっと、千秋。なに花ちゃんといい雰囲気になってんの?千秋なんかに、花ちゃんはあげないからね」
「お前のものでもないだろ」
三神君は呆れたと言わんばかりにため息をついた。
「花ちゃん、こんな獣なんかと一緒に住むの辞めて、ここに来なよ!」
お姉さんは必死な形相で言ってきた。
「いや、あの……」
やっぱりお姉さんの勢いっていうか、気迫は圧倒されてしまう。
「ちょっと待って。花ちゃん、千秋と住むの?どうして?詩織が死んだとしても、光輝さんがいるんじゃ……」
三神君のお母さんは、目を丸くしていた。
お姉さん、もしかして説明してなかったのかな。
というか……
「光輝って……?」
「詩織の旦那。つまり、花ちゃんのお父さんよ」
私の、お父さん……?
「お父さんは私が小さいときに死んだって……」
「そうだったのね……あのね、花ちゃん。私の口から伝えるべきじゃないのはわかってるんだけど……光輝さん……花ちゃんのお父さんは生きてる」