お前の涙、俺だけに見せて
「……え?」
「どうして詩織が嘘をついたのか、わからないけど……」
お父さんが、生きてる……
それだけでも驚きだけど……
どうしてそれを三神君のお母さんが知ってるの……?
「その父親、今どこでなにしてんのか知ってんの?」
私が混乱しているのを察してくれたのか、三神君が聞いた。
「えっと……ごめん」
三神君のお母さんは目を泳がせ、うつむいた。
三神君のお母さんが謝るようなことじゃないのに……
「どこでなにしてるか知らねーなら、余計な情報与えてんじゃねーよ」
三神君のお母さんは申しわけなさそうに、黙り込んでしまった。
空気がどんどん重たくなっていく。
「ただいまー」
どうすることもできないところに、なにも知らない、三神君のお父さんが帰ってきた。
「あれ、お客さん?」
「お邪魔してます。三神君……千秋君と同じクラスの西野です」