お前の涙、俺だけに見せて
私はそう言って、恥ずかしくなった。
この会話、普通に考えるとおかしいよね……?
「もとからそのつもりだよ。これでやっと、材料代が無駄にならねえ」
つまり、何度も挑戦してみたものの、結局失敗した、と。
なんだか、三神君の料理が食べてみたくなったな。
まあ、作ってくれるわけないだろうけど。
「つーか、お前は客なんだから、手伝う必要ねえよ。姉貴みたいに座ってろ」
お姉さんみたいに、堂々と任せっきりにする勇気はないけど……
このままここにいてもすることないだろうし、お言葉に甘えて座っていよう。
「花ちゃーん。いつまでそいつのところにいるのー?こっちで話そうよー」
お姉さんがリビングのほうから呼んでいるしね。
「花ちゃんはここ」
私がリビングに行くと、お姉さんが自分の隣を叩いた。
断る理由はなかったから、そこに座る。
「花ちゃん、今日は私の部屋で寝てね」
「いいんですか?」
「いいもなにも、断っても絶対に一緒に寝てもらうもん。ていうか、今日だけじゃなくて、ずっとでもいいんだけどね?」
「西野は俺の飯係なんだよ。奪うな」