お前の涙、俺だけに見せて
洗い物を終えた三神君がソファーのそばの床に座った。
って、奪うなってなに!?
「三神君、替わるよ」
話の流れを断ち切るために、私はそう切り出した。
「ダメ」
「断る」
私が立ち上がろうとすると、お姉さんは私の腕を掴んで、三神君は私をにらんでそう言った。
普段は仲が悪いのに、こういうときは息ぴったりなんだな。
なんて、言ったら怒られるだろうから、言わないけど。
数十分後、三神君のお父さんも夕飯を終えた。
「ところで、どうして西野さんが家に?」
お父さんは、缶ビールを片手に持って、私に聞いてきた。
「俺の家に、西野が住むことになったんだ。その報告と、西野から家賃を貰わなくていいかっていう確認」
どう言えばいいか迷っていたら、三神君が先に答えた。
っていうか、いいのかな。
家賃を払わなくて……
「なんだ、そんなことか。西野さんのご両親が反対していないなら、住むことは問題ない。千里がいるかぎり、千秋が彼女に手を出すことはありえないしね」